暑中見舞いとお中元の違いとは？

暑中見舞いとお中元は、それぞれ異なる起源を持っています。

暑中見舞いは、日本で昔から行われてきたお盆の風習が由来となっています。江戸時代、お盆に帰省する際には、ご先祖様へのお供え物を持参するのが一般的でした。この風習が変化し、夏の時期に普段会えない方やお世話になった方に挨拶まわりをする習慣が根付きました。明治時代初期に郵便制度が整備されると、現在のように挨拶状のみを送る習慣が定着しました。

一方、お中元は、中国の道教における三元の風習が起源です。旧暦7月15日は中元と呼ばれ、罪を償う日として神様に供物を捧げる行事が行われていました。この文化が日本に伝わり、仏教や祖先供養の影響を受けて、お世話になった人に感謝を伝える贈り物の習慣へと変化しました。

このように、暑中見舞いは主に季節の挨拶としてはがきや手紙で相手を気遣う文化であるのに対し、お中元は感謝と祈りを込めて具体的な贈り物を贈る文化である点で違いがあります。

暑中見舞いとお中元では、贈るものにも明確な違いがあります。

暑中見舞いは、簡潔な挨拶状を通して暑い夏に相手の健康を気遣うことが目的です。はがきや手紙に自身の近況報告や相手の健康を気遣う言葉を記し、季節の挨拶として贈ります。

一方、お中元は、具体的な品物を贈ることで、上半期にお世話になった方への感謝を伝えることが目的です。生活用品などの実用品や、相手の好みを考慮したお菓子、季節の食べ物などを贈るのが一般的です。

ただし、なかには暑中見舞いの名目でギフトを贈るケースもあります。相手との関係性や地域の風習を考慮して選ぶことが重要です。

暑中見舞いを送る時期は、二十四節気の小暑（7月7日頃）から立秋（8月7日頃）までが一般的です。特に梅雨明け後に送るのが理想とされていますが、相手の地域の梅雨明け時期を確認し、タイミングを合わせることも重要です。なお、立秋を過ぎたら、挨拶文や文言を残暑見舞いに変更する必要があります。

一方、お中元は地域によって贈る時期に違いがあります。東日本では新暦に基づき7月1日から7月15日頃までに贈るのが一般的ですが、西日本では旧暦に基づき8月初めから8月15日頃までに贈るのが適切とされています。相手が住んでいる場所によって異なるため、贈る前に必ず確認しましょう。

また、先に述べた通り、暑中見舞いという名目で品物を贈るケースもあるため、お中元に贈りそびれたギフトを暑中見舞いという形で贈ることもできます。

お中元を贈る時期については、以下の記事でより詳しく解説しています。
>>「お中元はいつから？地域別の時期と贈り忘れた場合の対処法」

暑中見舞いのはがきの内容は、以下の4つの要素で構成されるのが一般的です。

• お見舞いの挨拶
  忌中の期間はお中元を贈らず、贈るのは忌明け後とします。忌中の方からの贈り物を穢れ（けがれ）と捉え、縁起が良くないと気にする方もいるため、十分に注意しましょう。
• 時候の挨拶から始まる主文
  時候の挨拶と相手の健康を気遣う言葉を記します。季節感を取り入れた文章を心がけましょう。その際、相手が住む地域の気候に配慮した表現を用いると丁寧です。続けて相手の近況を伺い、自身や家族の近況報告やお世話になったことへのお礼を伝えます。
• 結びの挨拶
  暑中見舞いや残暑見舞いの趣旨に沿い、今後のお付き合いのお願いと相手の健康を祈る一文で締めくくるのが一般的です。
• 日付
  詳細な日付は記載せず、年号の下に「盛夏」など季節を表す言葉で締めます。残暑見舞いの場合は、「晩夏」や「葉月」となります。

なお、宛名は手紙の第一印象を左右するものですので、楷書で丁寧に書くことが重要です。バランスを考慮して美しく仕上げましょう。

暑中見舞いとしてギフトを贈る場合、時期は7月下旬から8月7日の立秋の頃までが一般的です。立秋を過ぎてから贈る場合は残暑見舞いとして贈るのがマナーとされています。

ギフトには熨斗をつけるとより丁寧な印象を与えられます。熨斗の表書きは時期に応じて変更する必要があり、立秋の頃までなら「暑中御見舞」、立秋以降は「残暑御見舞」とします。また、目上の方に贈る場合は「暑中御伺い」や「残暑御伺い」を用いるのが適切です。

熨斗は、紅白の蝶結びの水引が描かれたものを使用するのが一般的です。蝶結びは結び直しが可能で、何度あっても良いことに適しているため、暑中見舞いや残暑見舞いにふさわしい結び方です。ただし、肉や魚などの生ものを贈る場合は、熨斗なしにするのがマナーです。

暑中見舞いは、もともと相手と交換するものです。暑中見舞いをいただいたにもかかわらずお返しをしないことは失礼にあたるため、3日以内にお礼状を出しましょう。

その際、暑中と残暑の時期には十分注意が必要です。暑中見舞いの時期は、二十四節気の小暑（7月7日頃）から立秋（8月7日頃）前までとされています。立秋を過ぎ8月いっぱいまでは残暑見舞いとなります。立秋前にお返しが届く場合は暑中見舞いとして、立秋を過ぎるようであれば残暑見舞いとしてお返しするのが一般的です。また、相手が住む地域やその年の気候に合わせた表現を用いることも大切です。

もし相手の暑中見舞いに贈り物が添えてあった場合には、お互いに交換するという暑中見舞いの本来の趣旨から、お返しにもギフトを添えるのが望ましいとされています。加えて、返信文の中でいただいたギフトや相手の近況に触れることで、より心のこもったお礼となります。

日本には、喪中の期間はお祝い事を避ける風習があります。しかし、暑中見舞いはお祝い事の贈り物ではないため、喪中でも贈ったり受け取ったりできます。

ただし、喪中の方に暑中見舞いを贈る場合、忌中（四十九日が過ぎるまでの期間）には配慮が必要です。この期間は、遺族が故人の死を悼み、心の整理をつける大切な時期であるため、暑中見舞いを贈るのは避けましょう。また、喪中の方に暑中見舞いを出す際はお悔やみの言葉を添え、残された遺族の心情に配慮した表現を使います。ハガキはシンプルで落ち着いた色合いのものを選びましょう。